固定資産
12万円のPCは経費にできる?青色・白色申告、家事按分と減価償却を解説
12万円のパソコンを仕事用に購入。青色申告なら今年まとめて経費にできる?白色申告ではどうなる?家でも使うなら、仕事で使う分だけで10万円を判定してよいのでしょうか。
白色申告では通常の減価償却か、3年に分ける一括償却が候補です。青色申告では、条件を満たせば購入して使い始めた年に全額を経費にする特例も選べます。ただし、10万円未満かどうかは私用分を引く前の取得価額で判定します。
2026年9月に、新品のPCを12万円で買って使い始めた個人事業主を例に説明します。サーバー用や貸付用ではなく、取得価額が12万円と確定している前提です。
青色申告と白色申告で、12万円のPCの処理はどう違う?
青色申告は、事前の申請と一定の記帳などを条件に、税金の計算で特典を受けられる申告方法です。青色申告をしていない場合が白色申告です。12万円のPCでは、どちらの申告かによって使える処理方法が違います。
青色でも白色でも、仕事に使うPC代は必要経費の対象になります。違うのは、経費にする時期と選べる方法です。「白色だと10万円以上のPCは経費にならない」という意味ではありません。
白色申告で12万円のPCを買った場合は、耐用年数に応じて分ける通常の減価償却、または3年に分ける一括償却が候補です。青色申告では、この2つに加え、一定の中小事業者向けの少額減価償却資産の特例があります。
少額資産の特例は取得日で金額の上限が変わります。2026年3月31日までに取得した資産は10万円以上30万円未満、同年4月1日以降に取得した資産は10万円以上40万円未満です。この例のPCは2026年9月取得の12万円なので金額条件を満たします。対象となる青色申告者が要件を満たせば、使い始めた年に12万円全額を経費にできます。
この特例で全額を経費にできる資産は、合計で年間300万円までです。PCやカメラなど、この特例を使う買い物の合計であり、事業の経費全体の上限ではありません。
| 取得価額 | 白色申告 | 青色申告 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 使い始めた年に経費 | 使い始めた年に経費 |
| 10万円以上20万円未満(12万円のPCはここ) | 通常の減価償却/3年の一括償却 | 左の2つ/要件を満たせば少額資産の特例 |
| 20万円以上40万円未満(2026年4月1日以降の取得) | 通常の減価償却 | 通常の減価償却/要件を満たせば少額資産の特例 |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 | 通常の減価償却 |
根拠・確認先:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし / 国税庁|所得税基本通達49-39 少額資産の取得価額の判定 / 国税庁|No.2070 青色申告制度
減価償却・一括償却・少額資産の特例で、今年の経費はいくら?
減価償却は、PCの購入費を何年かに分けて経費にすることです。普通の減価償却、一括償却、少額資産の特例は、主に「何年で経費にするか」が違います。どの方法でも、店へ払った12万円そのものが変わるわけではありません。
税務上、何年に分けるかの基準を「法定耐用年数」といいます。新品の一般的なパソコン(サーバー用を除く)は4年です。個人事業主では、別の方法を届け出ていない場合、原則として毎年一定額ずつ経費にする「定額法」で計算します。
12万円のPCを2026年9月から12月まで仕事専用で使う例では、通常の定額法は12万円×0.250(25%)×4か月÷12か月=1万円です。年の途中で使い始めた分、初年度は月割りになります。
3年間に分ける一括償却資産なら、12万円÷3=4万円ずつを各年の経費にします。9月に使い始めたこの例でも、初年度は4万円。さらに月割りする必要はありません。「一括」という名前ですが、全額を1年で経費にする方法とは異なります。
青色申告の少額資産の特例を適用できる場合は、使い始めた年に12万円を経費にできます。対象者・取得時期・年間の適用額などを満たし、申告時の明細等を整えることが必要です。
| 選ぶ処理 | 2026年の経費額(仕事専用・9月使用開始) | 翌年以降 |
|---|---|---|
| 通常の減価償却(定額法・4年) | 10,000円 | 1年を通して使う年は原則30,000円。残りの購入費を翌年以降に分ける |
| 一括償却資産(3年) | 40,000円 | 2027年・2028年に各40,000円 |
| 青色申告の少額資産の特例 | 120,000円 | 同じ購入費を翌年以降に重ねて経費にしない |
根拠・確認先:国税庁|No.2106 定額法と定率法による減価償却 / 国税庁|耐用年数(器具・備品)(その1) / 国税庁|No.2100 減価償却のあらまし / 国税庁|措置法通達28の2-3 明細書の添付
12万円のPCを仕事で50%使うと、経費はいくら?
仕事で使う50%分は、経費の対象です。ただし、6万円を使い始めた年にまとめて経費にできるかは、選ぶ方法によって変わります。10万円未満かどうかを判断する金額は、按分後の6万円ではなく、PC全体の取得価額12万円です。
まず12万円で使える処理方法を選び、その方法で計算した今年の償却額に50%をかけます。新品のPCを9月から使い、仕事の割合を50%と説明できる場合の金額は、次のとおりです。
| 選ぶ処理 | PC全体の2026年の償却額 | 仕事50%の場合の必要経費 |
|---|---|---|
| 通常の減価償却(定額法・4年) | 10,000円 | 5,000円 |
| 一括償却資産(3年) | 40,000円 | 20,000円 |
| 青色申告の少額資産の特例(適用条件を満たす場合) | 120,000円 | 60,000円 |
全額を経費にしても、償却資産税の申告が必要になる?
所得税で経費にする話とは別に、事業用のPCは固定資産税の「償却資産」に該当する場合があります。青色申告の特例で今年の経費に全額入れたからといって、償却資産の申告対象から外れるわけではありません。
12万円のPCでは、通常の減価償却をする場合と、青色の少額資産の特例を使う場合は、原則として償却資産の申告対象です。一方、3年の一括償却資産として処理したものは対象外です。
税金がかかるかは、所有する償却資産を自治体のルールで評価した金額(課税標準額)の合計で決まります。この合計が150万円未満なら通常は課税されませんが、申告は必要です。150万円は、今回買ったPCの値段だけで比べる数字ではありません。
- 通常の減価償却:償却資産の申告対象。
- 青色の少額資産の特例:償却資産の申告対象。
- 3年の一括償却:償却資産の申告対象外。
根拠・確認先:東京都主税局|固定資産税(償却資産) / 横浜市|償却資産のページ
PCの取得価額・使用開始日・按分率は、帳簿にどう残す?
まず請求書で取得価額を確かめます。税込・税抜の判定は採用している経理方式に従い、消費税の免税事業者は税込です。送料など取得に付随する費用も含めて判定する必要があります。分割払いの月額や、仕事で使う割合をかけた後の金額で10万円を判定しません。
次に、購入日と仕事で使い始めた日を別々に記録します。12月に買って翌年1月から使うなら、買った年の経費として同じ計算をすることはできません。
通常の減価償却ならPCを工具器具備品などの資産科目で記録し、年末にその年の減価償却費を計算します。一括償却なら3年間の計算を、青色の特例なら適用した資産の明細を残します。単に消耗品費として入力して終わらせず、選んだ方法が分かる記録にします。
- 購入品:新品ノートPC 1台/取得価額:120,000円
- 取得日:2026年9月10日/使用開始日:2026年9月12日
- 事業利用割合:50%/根拠:仕事・私用の利用記録
- 処理方法:一括償却資産(3年)を選択した例
- 2026年の必要経費:120,000円÷3×50%=20,000円
- 残す資料:請求書、支払い記録、割合の根拠、翌年以降の計算表
根拠・確認先:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし / 国税庁|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存 / 国税庁|措置法通達28の2-3 明細書の添付
よくある質問
白色申告でも、12万円のPCを経費にできますか?
できます。ただし、通常1年以上使うこの例では、購入年に全額を経費にする青色申告者向けの特例は使えません。通常の減価償却か、3年の一括償却で計上します。
青色申告なら、少額資産の特例を必ず選ぶべきですか?
必ずではありません。今年まとめて経費にするか、翌年以降に分けるかで所得への影響が変わり、償却資産税の対象にも違いがあります。適用条件を満たすかを確かめたうえで比較します。
PCと一緒に買ったマウスやモニターは、別々に10万円を判定できますか?
同じレシートだから必ず合算、別の明細だから必ず別判定とは限りません。通常1台・1組などとして取引される単位で判定します。1つの資産を任意に分けて10万円未満にすることはできません。
参照した一次情報
- 国税庁|No.2100 減価償却のあらまし金額基準、2026年4月以降の特例、税込・税抜の判定(2026年4月1日現在)
- 国税庁|所得税基本通達49-39 少額資産の取得価額の判定通常1単位として取引される単位による取得価額の判定
- 国税庁|No.2070 青色申告制度青色申告の基本と申請・記帳
- 国税庁|No.2106 定額法と定率法による減価償却償却費の計算方法・年途中の業務使用
- 国税庁|耐用年数(器具・備品)(その1)パーソナルコンピュータ(サーバー用を除く)の耐用年数4年
- 国税庁|措置法通達28の2-3 明細書の添付特例の明細・決算書記載。ページ内の30万円表記ではなく、2026年の金額基準はNo.2100で確認
- 国税庁|No.2210 必要経費の知識必要経費・家事関連費・生計を一にする親族への支払(2026年4月1日現在)
- 東京都主税局|固定資産税(償却資産)一括償却と少額資産特例の申告対象の違い。所得税の取得期限・金額基準は国税庁No.2100を参照
- 横浜市|償却資産のページ申告義務・原則の期限・150万円未満でも申告が必要な点
- 国税庁|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存記帳内容と帳簿・書類の保存期間
制度は内容確認日時点の情報です。適用する年・契約・申告条件によって扱いが異なります。具体例は説明用の架空例です。