証憑保存
撮影したら紙のレシートは捨てていい?保存方法を先に確認
レシートはスマホで撮ったし、アプリにも送った。もう紙は捨てても大丈夫でしょうか。
写真を撮っただけなら、紙は残します。紙を捨てられるのは「スキャナ保存」のルールに沿って保存し、画像に不足がないことを確かめた場合です。紙を残して管理する方法と、紙を捨てるために必要な確認を分けて説明します。
写真があっても、すぐ紙を捨ててよいとは限らない
紙のレシートを、紙の代わりに画像データで保管する制度が「スキャナ保存」です。スマホで撮った画像も対象になり得ますが、撮影するだけでなく、読み取りの期限や画像の内容、保存後の管理などのルールを満たす必要があります。これらを定めているのが電子帳簿保存法です。
国税庁の2026年7月版Q&A(問3)では、スキャナ保存のルールに沿って保存し、紙と画像の内容が同じだと確かめた後は、原則として紙を捨てられるとしています。ただし、入力期限を過ぎた場合などは例外です。自分の保存方法がルールを満たしているか分からない間は、紙を残しておきましょう。
画像の有無だけでなく、元の書類を正しく読み取れているかも大切です。裏面に必要な情報がある、折れて数字が隠れているといった場合は、保存内容が不足することがあります。
紙を撮った画像と、メールのPDFは扱いが違う
紙で受け取ってから撮影した画像と、メールで届いたPDF。どちらもデータですが、保存のルールは異なります。最初に紙で受け取ったか、電子で受け取ったかで分けて考えましょう。
電子で受け取った取引情報については、データの保存が原則です。印刷した紙だけを残せばよいと考えず、自分に適用される保存方法と要件を確認します。
| 受け取り方 | 残すもの |
|---|---|
| 紙のレシート | 紙の原本。要件に沿ったスキャナ保存なら画像で代替できる |
| メールのPDF領収書 | 受け取った電子データ |
| 購入サイトの電子領収書 | ダウンロード等で保存した取引データ |
紙を処分する前に、保存の仕組みまで確かめる
紙を捨てたい場合は、使っているサービスの「スキャナ保存」への対応と、利用者が行う作業を調べます。問い合わせるなら「紙の領収書を廃棄したい。入力期限、必要な設定、画像の確認方法を教えてほしい」と伝えると具体的です。
制度全体の要件は、国税庁のスキャナ保存Q&Aの問10、紙を廃棄できる条件は問3にまとまっています。サービスの説明と照らし合わせ、いつまでに取り込み、どの機能で訂正・削除の履歴や検索を管理するかを確かめましょう。
対応を確かめるまでは、紙を月別の封筒などに保管したまま経費の記録を進められます。紙を捨てる仕組みを整えてからでないと、アプリを使えないわけではありません。
経費を記録したら、保管場所も分かるようにしておく
紙を保管する場合は、月別の封筒などにまとめます。経費の記録に日付・店名・金額があれば、その情報を手がかりに探せます。枚数が多く探しにくければ、紙と記録に同じ番号を付ける方法もあります。
電子の領収書は、保存先とファイル名を記録しておくと探しやすくなります。日付・金額・取引先で検索できるようにするなど、利用する保存方法に必要なルールも満たしましょう。
PDFの保存先と管理表の元資料欄をつなぐ
メールで領収書のPDFを受け取ったら、添付されたデータを保存します。メール本文に取引情報が書かれている場合は、そのメールも保存対象です。管理表へ金額を写しただけで、受け取ったデータの保存を終えたことにはなりません。
たとえばデザインツールの9月利用料3,000円のPDFなら、日付・取引先・金額を読み、管理表のE002と同じ取引かを見比べます。保存先をL列「資料の所在」に書けば、表からPDFへ戻れます。下の保存先と番号は、配布管理表の架空記入例と共通です。
- 自分の1件でも、日付・取引先・金額をPDFと表で見比べる。支払日と計上日が異なるなら理由も残す。
- 表から保存先を開き、目的のPDFを読めるか確かめる。見つからなければ保存先やファイル名を直す。
- PDFがあるのに行がない、1つの購入に行が2つある場合は、未入力や重複を月末の点検で調べる。
| 照合するもの | PDF・保存先 | 管理表の記入例 |
|---|---|---|
| 日付・取引先・金額 | 2026/9/20・デザインツール・3,000円 | B列の計上日は処理に合わせ2026/9/20、C列はデザインツール、G列は3,000円 |
| 取引内容と用途 | 9月利用料。請求内容と仕事での使用を確認 | A列はE002、D列は9月利用料、F列は顧客向け販促物の制作 |
| 受け取ったデータの場所 | 領収書フォルダ内の2026/09/E002.pdf | L列に「電子:2026/09/E002.pdf」 |
| カード明細にも同じ支払いがある | 購入日・取引先・金額をPDFと照合 | 同じ取引の確認資料として残し、経費の行は重ねて追加しない |
紙のレシートは何年保管する?
事業所得の申告で保存するレシート・領収書は、青色申告なら原則7年、白色申告なら5年です。帳簿自体の保存期間とは分けて考えます。
青色申告でも、前々年分の事業所得と不動産所得の金額が300万円以下の場合、この領収書等の保存期間は5年です。ただし、消費税の仕入税額控除のために保存する請求書等は7年など、消費税で別の保存義務がある書類はそちらにも従います。
| 申告区分 | 保存期間 |
|---|---|
| 青色申告 | 原則7年。前々年の所得について上記の条件を満たす場合は5年 |
| 白色申告 | 5年 |
| 消費税の仕入税額控除のために保存する請求書等 | 7年 |
根拠・確認先:国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告
よくある質問
LINEに画像が残っていれば大丈夫ですか?
トークに画像があることだけでは、制度上の保存要件を満たすとは判断できません。保存方式と必要な要件を確認し、原本の扱いを決めてください。
メールのPDFは、印刷して残せばよいですか?
電子取引の取引情報はデータでの保存が原則です。紙へ印刷するだけで完了とせず、電子データの保存方法を確認してください。
帳簿とレシートは同じ年数を保管しますか?
同じとは限りません。たとえば白色申告では、収入や必要経費を記載する法定帳簿は7年、領収書などは5年です。消費税の保存義務がある書類には別の条件もあるため、本文の保存期間と国税庁の一覧を参照してください。
参照した一次情報
- 国税庁|電子帳簿保存法Q&A スキャナ保存関係(2026年7月・PDF)問3 原本の廃棄、問10 保存要件ほか
- 国税庁|電子帳簿保存法Q&A 電子取引関係(2026年7月・PDF)電子取引データの保存義務と保存方法
- 国税庁|記帳や帳簿等保存・青色申告青色・白色の帳簿書類の保存期間、前々年所得による例外、消費税の保存義務
- 国税庁|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存記帳内容と帳簿・書類の保存期間
制度は内容確認日時点の情報です。適用する年・契約・申告条件によって扱いが異なります。具体例は説明用の架空例です。